ながい昏睡のあとで
もしふいに叫びをあげるものがあるとすれば
それはわたしではない(わたしの
意識ではない)
それはわたしの肉体——血管 皮膚 毛髪たちなのだ
死滅するものの声を聞く
深夜遠いところでなにが起こっているかを知っているのは
わたしではない
わたしの血や 肉だ
すべてのものが目ざめている
花ばなや鳥たちが目ざめているように
わたしのもっとも内なるものも
目ざめているにちがいない
——いま 石のなかに開く神秘な目
深い井戸状になった空間は無限空間だ
流出するもの
わたしはただわたしから流出していくものを知っていればいい
わたしはまだ生まれぬものだ
だが わたしは予感している
世界を
世界のなんであるかを