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魚ははたして

魚ははたしてキラキラ光っているものなのか

川をさかのぼる

あるいはよどみに群れなす魚は

それを眺めるわたしたちにとってなんだというのだ

 

大気圏の高所に吹く風

チベットヒマラヤの山中になだれる雪

磁気嵐 オーロラ

それらがわたしたちの生活にもたらす意味はなにか

 

耳をすませ

そのとききみのこころのなかに沈むものの重さをはかれ

無の重さをはかれ

きみがこの世に生まれて所有するただひとつのものだろうものの重さを

 

魚はきみのために

風はきみのために

おそらくきみの心臓の鼓動さえも

きみのためにあるのではないことを知れ

 

それからだ きみはひとりの女と結ばれる

火や 土や 風や 水のなかま入りをする

わたしたちの行為は終わることを知らない

それは わたしたち自身にさえ属さない

 

畑を耕しているとききみは空中にいる

あるいは立っている樹木と見分けがつかない

わたしとはなにか

わたしとは おそらくすべてのものであるだろう

 

わたしとは

ベドウィン族であり 蜂であり

蜂に吸われる蜜であり

電光であり 水の一滴でさえあるだろう