西 一知詩作品 · 29日 11月 2023 庭 むかし ぼくは歴史の本で 「ポチョウムキンは 大噓つきだった」 というのを読んだ 女王さまがやってきたとき ポチョウムキンは 女王さまのとおる道だけを掃除し 花を植え 町を作ったのだそうだ その頃 ぼくはまだ 黒海とは小さな池のようで 池のまわりには 赤い帽子のトルコ兵がたくさん並んで駆けていた —— ぼくは絵本を閉じた お母さんの手がのびて 枕もとの明かりを消した 外では桜の花が散っていた 夜桜が散っていた tagPlaceholderカテゴリ: