雲の切れ目から太陽がのぞいた
汚れた犬が一匹巡査を見ていた
巡査は長いことかかって箱をとりつけていた
犬はぼくが通りかかると
痴呆的な眼を向けてぼくを見たが
鼻づらを土へすりつけるようにして
行ってしまった
巡査は箱をつけ終ると
シンセイの袋を出してマッチをつけ
洋服のちりをはらった
それから
道路にとまっていた三輪車の方へ行くと
運転台のもひとりの巡査が
ギアーを動かした
三輪車は行ってしまった
空はまた曇ってきた
品物を並べた家にはガラス戸がはまっていて
なかには人がいた