ぼくはあなたの帰った
後の海が
きれいな縞模様になってるのが
見えます
夕方になって冷えこむので
なかにはいって
上着をきて
それから
ぼくはまたバルコニーへ出ます
やがて夜がくる
闇が
そうしてあったかい
ぼくのからだを閉ざしてしまう
誰もが帰ったあと
それはとても大きな声のように感じられたが
それでも
ぼくは坐っていた
それからぼくはひきかえした
ぼくは疲れた
ぼくは
もうぼくのものではないと思った
——
ぼくは死んでしまったのだ