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夜(プロローグ)

オフェリアは

水も汚さず流れていった

ぼく等は

いま誰も疲れはてて眠っている

 

岩石のような顔が

涙にぬれている

一度でよいからおてんとさまを

おがみてえな

理不尽な神さま ぼく等は

置いてきぼりか

 

眠りのなかで

おのれの時間を放棄する

 

ぼく等はたがいに

よろめきながらぶつかりあう

ぼく等は眠ったままで

不平をこぼす

<こんちきしょう>

 

だが

その間にも

花ばなや

いらくさの繁みをくぐって

ぼく等もまた

はこび去られていくのだった

汚れた顔が

羞じらいのためあかくなる

むじゃきな悪党どもめ

 

その間にもぼく等は

一羽の鳥の

さえずりを聞いたと思った

 

ピー ルルル

        ピー ルルル

しかして

夜は

ますます深く

ぼく等は

ぼく等自身の夜のなかへと降りて行く