西 一知詩作品 · 19日 1月 2021 重たい本 彼はちょっと立ち止まって それからポケットを探す 彼は よくいろんなことを思い憶いだすのです 波は一日中 海の上で揺れてます かもめが来て それに軽いくちづけ交わします 彼は格子縞の 軒の下から出てきます きわめて長く て退屈な時間とともに しかしそれは それも過去であるかもしれません 世界は はじめで常に大きい 彼はそんな彼を 微かにわらいながら眺めるのです 詩集『大きなドーム』(1957年)より tagPlaceholderカテゴリ: