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重たい本

彼はちょっと立ち止まって

それからポケットを探す

彼は

よくいろんなことを思い憶いだすのです

 

波は一日中

海の上で揺れてます

かもめが来て

それに軽いくちづけ交わします

 

彼は格子縞の

軒の下から出てきます

きわめて長く

て退屈な時間とともに

 

しかしそれは

それも過去であるかもしれません

世界は

はじめで常に大きい

 

彼はそんな彼を

微かにわらいながら眺めるのです

 

詩集『大きなドーム』(1957年)より