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Try once

 

ぼくは

大きくなって一人前の船乗りになった時

そんなに多くのものを持ってなかった

マスカラをつけて歩いた

市場に出ても時たまキャベツや

にんじんを買ってくるだけだった

レコードが廻り

窓に地獄の張絵が張ってあっても

ぼくの心はぼくに

もうそれほどの関りをもたなかった

お祖父さんはたちは

家にいて少しの土地を持ち

今年三才になる孫娘があった

 

ぼくは

ぼくの心ににじんだ血をやさしく

拭ってあげました

 

    詩集『大きなドーム』(1957年)より