西 一知詩作品 · 12日 9月 2020 Try once ぼくは 大きくなって一人前の船乗りになった時 そんなに多くのものを持ってなかった マスカラをつけて歩いた 市場に出ても時たまキャベツや にんじんを買ってくるだけだった レコードが廻り 窓に地獄の張絵が張ってあっても ぼくの心はぼくに もうそれほどの関りをもたなかった お祖父さんはたちは 家にいて少しの土地を持ち 今年三才になる孫娘があった ぼくは ぼくの心ににじんだ血をやさしく 拭ってあげました 詩集『大きなドーム』(1957年)より tagPlaceholderカテゴリ: