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ぼく等が坐った時

柊の林は雨であった

「苦しむのは悪いことです」

あなたがこういった時

雨はひとしきり激しく降った

 

ぼく等が坐った時

村では焚火が初まっていた

「あたしは何も知らない。」

あなたがこういった時

空では星が瞬いた

 

あなたの肩に手をやると

小さな箱のように

コトコトいった

開かれたあなたの眼に

涙が溢れた

 

「すれ違うものについては

何も知らない。」

土と星の匂いが

噎返るようにぼくを覆った

 

詩集『水の装い』(1954年)より