西 一知詩作品 · 25日 6月 2020 祭 ぼく等が坐った時 柊の林は雨であった 「苦しむのは悪いことです」 あなたがこういった時 雨はひとしきり激しく降った ぼく等が坐った時 村では焚火が初まっていた 「あたしは何も知らない。」 あなたがこういった時 空では星が瞬いた あなたの肩に手をやると 小さな箱のように コトコトいった 開かれたあなたの眼に 涙が溢れた 「すれ違うものについては 何も知らない。」 土と星の匂いが 噎返るようにぼくを覆った 詩集『水の装い』(1954年)より tagPlaceholderカテゴリ: