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月が街を食べました

月が街を食べました

皿は吐き出された骨で一杯です

 

露路を曲がると

スピノオザの眠る海

 

涎を流して眠る男の顔半分は

真暗なかげに閉ざされています

 

食べ残された壁の後は夜です

ひどい風に鏡は埃まみれです

 

乱れる髪!

夜の口はなんて汚いんだ

 

 詩集『水の装い』(1954年)より